在日韓国人の方の中には、出生や婚姻、離婚、死亡の各種届出を日本の役所にしかしておらず、韓国の方に届出をしていない状態の方が多くいらっしゃいます。日本生まれの方は、韓国側への届出が必要であるということを知らない方も多いのです。
韓国への届出をしていないとどうなるのか。
まず、日本にいる韓国籍の方には、日本国籍者が持っている「戸籍」がありません(住民票はあります)。普段の生活での支障はほぼありませんが、「戸籍」にあたるものが必要になった時に大変困ってしまうのです。
例えばパスポートを作る時、結婚をする場合、帰化申請をする場合、相続が発生した時などです。
日本の「戸籍」にあたるものが韓国の「家族関係登録証明書」です。この証明書は、上記の各種届出を韓国領事館へ届け出ることで記録されます。
もし、あなたのお父さん、お母さんが韓国へあなたの出生届出をしていない場合、韓国の戸籍にはあなたの名前は存在しないことになっています。
もし、あながが結婚の時に韓国へ婚姻の届出を行わなかった場合、韓国の戸籍上はあなたは独身です。
戸籍整理とは、届出が漏れてしまったものを順番に申請し、現状と同じ状態の戸籍に整理していくことです。
事例1
「在日韓国領事館でパスポートを作ろうとしたら、韓国に戸籍がないので戸籍整理をしてからでないと韓国のパスポートが作れないと言われたので、その手続きがしたい」
上記の相談者Aさんの戸籍を調べると、Aさんのお母さんも韓国戸籍に載っていないことが判明。
つまり、戸籍整理をするには
① お母さんの出生をAさんから見た祖父・祖母の戸籍に載せる
② お母さんとお父さんの婚姻を届出、Aさんの出生を届出
この手続きには相当な時間がかかります。通常であれば一つの手続きに2~5ヶ月かかってきますので、最低でも4ヶ月はかかります。
ただし、今回のAさんの場合、戸籍整理に必要な日本の書類と韓国の戸籍上の情報に差異があり、韓国の手続きを進めるために日本の証明書を訂正しなければなりませんでした。
そうなると、芋ヅル式に「韓国の戸籍整理のために必要な、日本の書類を訂正するのに、韓国の戸籍が必要・・・」という迷路状態に。
こうなると1年以上かかることもあります。
パスポートを申請しようとするタイミングというのは、すでに旅行などの予定が決まっている場合がほとんどです。
日本人のパスポート申請だと、2週間もあれば出来上がってきますので、同じような感覚で用意をしようとすると大変なことになります。
また、戸籍整理は何年もさかのぼって、情報を整理する必要があり、家族が亡くなっているなどの場合には、情報を探すこと自体が相当難しくなります。
こうなってしまう前に、一度ご自身の戸籍を確認してください。